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庄内町本通り(2)

『庄内町誌』には、庄内町本通り(県道名古屋布袋線、現在の庄内通)の写真が3点掲載されている。そのうち1点を前回紹介したが、残りの2点(1) を見てみたい。以下、上の写真をa、下の写真をbと称する。

前回の写真と比べると、庄内公園正面にあった立木のひとつがa・bともに見えるため、いずれも南から北を向いた撮影であり、樹影が小さくなっていることから、撮影地点は前回の写真より南方に移動していることがわかる。また、両写真のあいだでは、aは南寄り、bは北寄りの場所からの撮影であることが、次に見る竿の見え方から知ることができる。

その竿が、a・b右側の町並みの上方に見える。両写真の竿が同じものであることは、bで読める黒地に白字の「クスリ/親切第一」の看板が、aにも小さく見えることからもうなずける。bでは、竿の先端に丸い形がはっきりわかるため、これを旗竿頭とする旗竿とみなせる。

bでは、旗竿の左方、手前から2本目と3本目の電柱のあいだに、内湾する柱2本の立つのが見え、その先端近く右下に半鐘のような形状のものが下がっている。消防組の施設だろうか。そうだとすると、異様に長い旗竿も、何らかの──信号標のような──公的な施設だったのかもしれない。

撮影した時間帯は異なる。aの影は右(東)から短く、bのそれは左(西)から長くできていることから、aはお昼頃、bは夕方である。bの路上左半に光る一帯は、夕方の打ち水であろうか。

aの右側に見える「川地」は歯科医院で、現在も続いている。同院のホームページには「当医院はこの地で開業し約80年」とある。bの右側の「庄内写真館」の名前も、Google ストリートビューに見える。ただし、2016年5月撮影以前は営業していることがあきらかだが、2017年8月撮影以降は店名のプレートがはずされていて、廃業したようにうかがえる。歯科医院と写真館は、現在は隣接しているが写真撮影当時は南北に数軒離れているため、道路の拡幅などで移転した際に場所が変わったのであろう。

2019年8月現在のようす。角の右方に川地歯科医院、左方に庄内写真館(緑のテントのひさしの建物)が見える。

  1. (写真キャプション)「庄内町本通リ(其ノ二)」・「庄内町本通リ(其ノ三)」小出儀重編『庄内町誌』、愛知県西春日井郡庄内町役場、1937年2月28日、写真図版頁。

カテゴリー: locī

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