21 4月 2004

虚構のなかで日常をつくる

Posted by fische on 04/21 at 04:56 AM

武藤直路氏の著書『スタイリストになるには』(2000年)は、ぺりかん社の「なるにはBOOKS」の中の1冊だが、HOW TO本という性格を超えたおもしろさがある。

それは第一に、「スタイリングとは、「虚構のなかで日常をつくる」こと」という節タイトルに象徴された、本書を貫く思想性にある。近年、国家や民族が近代のフィクションであるとする論にであうことが多いが、本書はそうした評論とは異なり、「日常」をつくるスタイリストたちの諸相を通じて、つくられた「日常」に対する私たちのありようを問うているように思えるのだ。「夢」や「希望」があるとするならば、このあたりなのだろう。その意味で、門外漢でも嬉しくなる本である。
そして、本書が指南するスタイリストのHOW TOは、博物館学芸員のHOW TOにも通じる。学芸員養成課程の教科書にしてもよい。それは、「虚構のなかで日常をつくる」ことの共通にあるからだと思う。つくられた「日常」とは、ファッションショーであり展覧会である。さらに、私たちとは政治、経済、文化…諸々の虚構のなかでつくられた「日常」である、ということに想到するのも容易だ。
武藤氏の著書には、もう1冊『ファッションデザイナーになるには』(2003年)がある。やはり、「1枚の布から創り出すイリュージョン」という章タイトルが見えている。

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